歯科には【Drill Fill Bill】という言葉があります。
これは”削って・詰めて・費用をいただく”という診療フローを3つの単語にまとめたものです。
つまり、虫歯は削って詰めることが歯科医院にとっての経営的な利益に繋がるということになります。一方で、果たしてそれが患者利益になるのかというと、そうではないことも多くあります。
虫歯はゼロイチではなく、0.1や0.2といったレベルのものもあります。また我々が診断に使うレントゲンは経時的ではなく、一時点の切り抜きでしかありません。もちろん検査で見つかったものについては包み隠さずお伝えはします。しかし虫歯を見つけては片っ端から治療を行っていくことは絶対にありません。
私たちは「死ぬまで自分の歯で美味しいものを食べる」という目標(ゴール)のために細菌と日々戦っています。そのせめぎ合いにおいて、我々が行う治療には”せめ”の側面があります。ただどんなに上手く治療を行ったとしても、”まもり”が弱ければ細菌との戦いでいずれ劣勢を強いられることになってしまいます。
虫歯治療の一環として、患者さん自身のセルフケアによるご協力なしに、細菌との戦いに勝つことはできません。安心していただきたいのですが、”まもり”が完璧な方はほとんどいません。なぜなら歯磨きやフロスは難しいのです。
苦手なところや抜けを補い、みなさんの”まもり”をアシストするために歯科衛生士が存在します。
次に、治療をしないといけないレベルになってしまった虫歯に対して、当院でどのような治療を行っているかについてご説明していきます。
昨今、虫歯治療は「MI」というコンセプトのもと治療が行われることが多いです。
MI = Minimal Intervention
これは最小限の介入で治療を行うことを意味します。
これまでは便宜的に健康な歯質も削り、詰め物をするという方法が一般的でしたが、現代の歯科医療では接着治療のクオリティが上がり、最小限の治療で済ませられるようなケースが増えてきました。
ただ、「MI」にこだわりすぎ、本来残すべきでない歯質を残したせいで再治療に至るケースも多く目にするようになってきました。
当院では患者さんの歯に対する価値観をしっかりと問診した上で
「MI」のコンセプトを大切にしつつも、再治療介入ができるだけ少なくなるような治療を目指します。
虫歯治療だけでなく、その後のメンテナンス(予防)を見越すことも重要なポイントです。
虫歯治療の第一選択としては、先程ご説明したMIコンセプトに基づき、健全な歯質を多く残し、歯髄(歯の神経)を守ることです。
しかし歯質を残そうと思うあまり、虫歯の見逃しによって再治療になることがあってはなりません。
実際に健全な歯質と虫歯の境界を見分けるのは経験のある歯科医師にとっても難しいことです。
そのため当院では「う蝕検知液」を用いて、感覚ではなく、視認できるかたちに虫歯を染め出しながら治療を行っていきます。染め出すことで必要な部位をしっかりと除去でき、また健全な歯質を無駄に削ることがありません。
歯の神経が細菌に感染すると、強い痛みを伴い失活していきます。痛みを感じる神経が死ぬわけなのでその後徐々に痛みは落ち着いてきますが、そのまま放置をしていると根管が細菌によって汚染されていき、最終的には根の先の骨が溶けていきます(根尖性歯周炎)。
骨が頬側まで溶けていくと、中に溜まっていた膿が粘膜に”歯茎の腫れ”として目視できるようになります(サイナストラクト)。
今までは根の先に黒い影があるからという理由で抜歯を宣告されることが多かった根尖性歯周炎ですが、現在ではきちんとした治療を行えばほとんどのケースで歯を温存することが可能です。そのために行っていくのが「根管治療」です。
「根管治療」において特に大切なのが、ラバーダム防湿を用いたデコンタミネーション(感染制御)です。神経のあった空間はもともと細菌がいない無菌環境です。
例えば医療ドラマでよく見かける開腹手術でドレープもかけず、術野の消毒を行わず、唾液だらだらの状態でオペを行っている状況が想像できますか?根管もお腹と同じく本来は無菌環境ですので、しっかりとデコンタミネーションを行った状態で処置を行うことは治療成功のために必須となってきます。
抜歯と言われたが、残せる方法はないのか?別の治療方法はあるのか?など、何か納得できていない状態がありましたら、当院のセカンドオピニオンをご活用ください。
第三者の公平な観点から、新たな見解を探していきます。
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